


社員の満足を“イス”で実現したい!
“座る歓び”を追求した休憩所用イスを開発。
社内アンケートで気づいた「休憩」の大切さ
自動車用シートのメーカーとして「座るとは何か?」を考える中で、リサーチの一環として「座る」をテーマに社内アンケートを実施しました。その際、回答の中に含まれていた「工場の休憩所に快適なイスがない」という声に着目します。各工場の休憩所を調査した結果、浮かび上がってきたのは、「硬くて冷たい長椅子などが多い」というハード面の課題と、せっかくの休憩時間に黙ってスマホを見るだけという「コミュニケーションの希薄さ」という現状でした。「世界に“座る歓び”を提供するためには、まず自分たちが”座る”ことに対して自信を持っていなければ」と感じて「社員の休憩時間の改善」を実現できる「イス」の開発を目標に定めました。
自動車シートのメーカーなのに、足元に思わぬ盲点があったことに驚きました。休憩所をチェックして回り、長椅子に2名が離れて座っている光景を見て、2名でリラックスできるイスの開発を思いつきました。
コンセプトは「座り心地」と「コミュニケーション」
プロジェクトチームが発足し「社員満足チェア」の開発をスタート。目指したのは「人と人との繫がりを感じ、あたたかい気持ちで仕事に戻れる」休憩用チェア。開発コンセプトとして「座り心地」と「コミュニケーション」の2つの軸を設定し、「しっかりと休める構造ながら、社員同士の会話もしやすいイス」を理想に掲げました。まずは、チームのメンバーの声をもとに、さまざまなデザインスケッチを重ね理想の姿を追い求めます。往年の名車用シートをモチーフとした形状や、瀬戸内の海を臨むカフェをイメージしたもの、南国リゾートからヒントを得た明るい色のシートなど、夢は広がっていきました。
事務イスや応接イスなど、さまざまなイスを調査し、座り心地や耐久性などを研究。自動車シートの開発担当にもヒアリングして、疲れにくく耐久性の高い構造や素材の研究も行いました。
自動車用シートメーカー×イスメーカーのコラボへ
岐阜県で金属イスの製造販売を手掛けておられる、株式会社トーヨーイス様。「with a smile ~みんなを笑顔にかえるイス~」を企業理念に持つ、同社の事務所を訪れると、女性スタッフの皆様が出迎えてくれます。当初は自社製造を想定していた「社員満足チェア」ですが、自動車用シートと家具製品のイス、どちらも同じ工業製品ながら、その製造工程は全く異なるものだとわかり、結果としてトーヨーイス様に製造をお願いすることになりました。女性ならではの繊細な気遣いをお持ちのトーヨーイスの皆様に「おもてなしの心」を学ばせていただきながら、同社のノウハウも盛り込んだ2社の共同開発として「理想のイス」を目指すコラボレーションが始まりました。
同じ「トーヨー」を社名に持つトーヨーイスさんがパートナーとなったのは偶然ですが、運命だったのかもしれません。工場見学では、職人の熟練した製造過程を拝見して感動しました。
現場の声、社員の声、社内外のノウハウを結集
開発中の試作品をもとに、社内でアンケート調査を行った結果「背もたれが高い方が休息度が高い」という声が多く、背もたれを高めにしたデザインに絞り込みました。イスのカラーは、暗くなりがちな工場の休憩室に「明るさ」をもたらしたいという想いから、鮮やかなオレンジ色と決定します。また、休憩所用イスはさまざまな環境で使われるため、耐久性があり汚れが落ちやすい素材が必要不可欠。自動車シートで使用される高密度ウレタンをベースに、トーヨーイス様のノウハウを加え、耐久性を高めました。そして、市販されているさまざまなイスと比較して、実際に座って確かめる社内テストを繰り返し、座り心地の改良を加えていきました。そんな過程を経て、社員みんなの想いと知恵が一つのイスに込められ「SHAINS CHAIR」が生まれたのです。
「休憩室に光」をという意味で輝くという意味の英語「SHINE(シャイン)」と開発中の名称「社員満足チェア」をかけて「SHAINS CHAIR」と命名しました。


工場の“モノづくり”を休憩で支えたい

「話しやすい」距離感と角度を追求

社員の声を反映して、サイドテーブルとイスの角度を自由に調整できる構造としました。
二人でゆったりと休みたい

長イスに二人で離れて座る光景から思いついたのが、2脚のイスとテーブルという構成でした。
SHAINS CHAIR
≪イス部分≫
背カバー:ポリプロピレン
上張り材:ポリウレタンレザー
クッション材:ウレタンフォーム
フレーム:スチールパイプ
サイズ:W465×D605×H865(1脚・単位:mm)
重量:6.7kg
≪テーブル部分≫
テーブル素材:木材(集成材)
カップホルダー素材:ポリプロピレン
サイズ:W320×D335(単位:mm)
重量:1.9kg
※1セット(イス2脚+テーブル)の総重量:15.3kg


休憩室が明るくなり、しっかり休める
「SHAINS CHAIR」を実際の工場内の休憩所に設置しアンケートを実施。合計124名の返答をまとめています。71%が「休憩所の雰囲気が良くなった」、94%が「座り心地が良い」、86%が「身体が休まるようになった」と返答しています。
休憩所の雰囲気が良くなったと思いますか?
- とてもそう思う 20%
- やや思う 51%
- 以前と変わらない 24%
- あまり思わない 3%
- 全く思わない 1%
鮮やかなカラーデザインにより、工場の「休憩所の雰囲気が明るくなった」と感じた社員が約71%となりました。「色が明るくなった」「色が明るくて華やか」などの意見が多数を占め、「ベンチと違い冷たくない」「テーブルつきが良い」という声もありました。
座り心地はどうですか?
- 良い 51%
- やや良い 43%
- どちらでもない 4%
- やや悪い 2%
従来の休憩所のイスと比較した「座り心地」の調査では、合計で約94%が「座り心地が良い」と返答。「クッションが良い」「やわらかい」「背もたれがある」「(一人ずつ)個別に分かれている」というのがその理由でした。
身体が休まるようになりましたか? 以前の椅子より
- とてもそう思う 47%
- やや思う 39%
- 以前と変わらない 8%
- あまり思わない 3%
- 全く思わない 3%
約86%の声として「身体が休まるようになった」という結果に。「クッションが厚いから」「ゆったりできる」「痛くない」などの理由が挙げられています。

殺風景な休憩所が明るくなったと思います。
クッションが柔らかくて、疲れがとれるのがうれしい。
冬場に冷たくないのがいいですね。デザインもおしゃれ。
カップホルダーに水筒や飲み物を置きやすく、こぼれにくい。
テーブルに木の温かみを感じてリラックスできます。
